当施設院長は、この映画が好きで好きでたまらない。音楽♬も最高で、当施設院でもしょっちゅうかけています。
歌詞の伏線がすごいところとか、ミアの服がめちゃめちゃ可愛いところとか、ライアン・ゴスリングがガチでピアノを弾いていることがわかる演出とか、ライトハウス・カフェを出た2人の振り向くタイミングが絶妙なところとか、汚いはずゴミ箱がキレイな紫色にしている色へのこだわりとか、オープニングの渋滞とエンディングの抜け道はそれぞれの成長をうまく表現しているところか、
いっぱいいっぱいあります。
ですが、今回は映画の感想や作品情報は一切語りません。この記事では、
- ミアとセバスチャンがそれぞれ描ていた夢の整理
- ラストの幻想シーンの意味(現実世界との区別)
- 幻想シーンは間違いなくセバスチャン側の視点で、ある意味許しを求めていた
- そもそも『ラ・ラ・ランド』はラブストーリーではなく、サクセスストーリーをベースにした話
について説明します。
これが分かれば映画『ラ・ラ・ランド』は切ないエンディングではなく、ハッピーエンドだったということがわかります。
以下、ネタバレありです。
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もう一度整理!ミアとセバスチャンが描く夢・手段・結果はどうだった?
ここで一度、ミアとセバスチャンがそれぞれ描いてた夢・手段・結果を整理したいと思う。
ミアの場合
- 夢⇒女優として成功すること。場所は問わない。
- 手段⇒独り芝居、オーディション
- 結果⇒女優として大成功した
地理的こだわりを持たない。女優として成功出来るのあれば、ロスでもいいし、パリでもいい。
セバスチャンの場合
- 夢⇒ロスでジャズバーを開くこと
- 手段⇒ジャズバーの開店資金を貯めるために妥協して自分と違うスタイルのバンドに入る
- 結果⇒ミアと別れ、ロスでジャズバーを開いた
地理的こだわりを持つ。ジャズバーはロスでなければならない。
ふたりの夢は、交際を続けることではない。いずれ結婚して家庭をもつことでもない。
- ミアの夢は女優になること
- セバスチャンの夢はロスで自分のジャズバーを開くこと
最終的に2人ともが夢が叶いました。
ラストの幻想シーンの振り返り!ふたりの交際が続けば
グリフィス天文台が見える丘で「お別れ」してから5年後。2人が再会したのは、ミアが偶然入ったジャズバー「セブズ」だった。そしてセバスチャンの演奏が始まると同時に、実現しなかった「幻想世界」に入る。
ここでいまいちど幻想世界と現実世界をきっちりと区別しておけば、ハッピーエンドであることが理解できるはずだ。
幻想世界で夢をつかむのは「ミア」だけ
- クリスマスの夜、「リプトンズ」でキスを交わす
- セバスチャンはキースの仕事のオファーを断る
- ミアの独り芝居は大成功
- セバスチャンはミアの芝居の観客席にいる
- 楽屋口から出るとミアはオーディションに招待される
- ミアはオーディション成功する
- ミアとセバスチャンは2人でパリへ飛ぶ
- セバスチャンは「カヴォー・ドゥ・ラ・ユシェット」で演奏家として働いている
- ミアは女優として成功
- 2人の交際は続き、子供も生まれる
- ベビーシッターに子供預け、デートに出かける
- 渋滞にはまるが、抜け道を利用する
- ジャズバーに入るが、セバスチャンの店ではなく、他人が演奏している
結果
幻想世界で夢をつかんだのはミアのみ
現実世界では夢をつかむのは「ミア」と「セバスチャン」
- クリスマスの夜、「リプトンズ」で
キスを交わしたイラついてセバスチャンはミアを無視 - セバスチャンはキースの仕事のオファーを
断る受け入れる - ミアの独り芝居は
大成功大失敗 - セバスチャンはミアの芝居の観客席に
いるいない - 楽屋口から出るとミアはオーディションに招待される ※夢と同じ
- ミアはオーディション成功する ※夢と同じ
ミアとセバスチャンは2人でパリへ飛ぶミアのみパリに行くセバスチャンは「カヴォー・ドゥ・ラ・ユシェット」で演奏家として働いているセバスチャンはそもそもパリに行っていない- ミアは女優として成功 ※夢と同じ
2人の交際は続き、子供も生まれるミアは別の男性と結婚したベビーシッターに子供預け、デートに出かけるセバスチャンがいない渋滞にはまるが、抜け道を利用するセバスチャンがいないジャズバーに入るが、セバスチャンの店ではなく、他人が演奏している「セブス」でセバスチャンが演奏している
結果
現実世界で夢をつかんのだのは、ミアとセバスチャン両方
ふたりは別れないとセバスチャンの夢は叶わない!
「現実世界」で夢が叶ったのはミア及びセバスチャン両方。
しかし、「幻想世界」で夢をつかんだのはミアのみでした。
ミアは幻想世界だろうが現実世界だろうが、どちらにせよ夢が叶う。つまり、ふたりの交際が続いても続かなくても、女優になれる=夢が叶う。
一方で、幻想世界ではセバスチャンの夢は叶わない。ふたりの交際が続いてパリまでついていくとなると、ロスで自分のジャズバーを開くという夢を諦めるしかない。
幻想世界の中でセバスチャンは「カヴォー・ドゥ・ラ・ユシェット」というお店で演奏している。「カヴォー・ドゥ・ラ・ユシェット」はパリ最古のジャズクラブ。そんな伝統のある店、セバスチャンはオーナーになれないでしょう。(まぁ仮定だけど)彼は、あくまでも演奏家として雇われているのであって、ジャズクラブのオーナーではない。
つまり、幻想世界ではセバスチャンの夢だった「ジャズバーを持つこと」は実現できていない。
また、サビのスポットライトが当たるのはセバスチャンではなく、トランペット演奏者。(映画全体を通して極限までセバスチャンとミア2人だけの世界観を作っていたのに、ここで第3者にスポットライトを当てたのは意図的だと思う)
セバスチャンは夢を実現できていないどころか、中心人物にすらなれていない…
セバスチャンがパリに行ったら、2人の交際は続いたかもしれない。
しかし、自分の夢を諦めらめなければならないという悲しいトレードオフが同時に存在したことラストシーン(幻想世界)でわかる。
セバスチャンは夢を追いかけロスに残った。その結果、念願だった「ジャズバーを持つこと」ができた。
ふたりの夢は、交際を続けることではない。いずれ結婚して家庭をもつことでもない。
- ミアの夢は女優になること
- セバスチャンの夢はロスで自分のジャズバーを開くこと
最終的に2人ともが夢が叶いました。
切ないどころか、最高のハッピーエンドじゃないっすか。